2010.07.23

イントロダクション

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 知的障害者である兄・実生と二人で暮らす幹生は、性欲処理 ができない兄のために、デリヘル嬢のマリンを招き入れる。地下アイドルとして活動しながら風俗で働くマリンには、いつか自分だけの島「ファラ・アイランド」を購入したいという夢があった。奇妙で穏やかな共同生活を始めた3人だったが、マリンの取材を続けるドキュメンタリー作家によって、互いを補うように生きてきた3人の絆がもろくも崩れ去ろうとしたとき、はじめて彼らは自分自身と向き合い、各々のやり方で圧倒的な世界と対峙するのだった……。

 社会のシステムからこぼれ落ちながらも逞しく前を向いて歩き続けるヒロイン“マリン”と、様々な軋轢に押しつぶされそうになりながらも、なんとか自分の足で歩いて行こうとする一組の兄弟は、過去でも未来でもない、かけがえのない“今”を生きてゆく。誰もがひとりでしか生きられない。でも誰もひとりでは生きていけない。たとえ個々では無力な存在だとしても、夢と感情を共有できるかけがえのない仲間はきっとどこかにいるはず───。

そんな普遍的なテーマを真正面から描き切った新たな傑作が誕生した。

 監督は若松孝二や行定勲らの下で演出力を磨き、本作がデビューとなる白石和彌。脚本は白石監督と『ある朝スウプは』『ソラニン』の高橋泉。現代の社会が抱える問題や風俗を浮き彫りにしつつ、幸福な人間関係の在り方を映し出し、観る者に勇気を与えてくれる爽やかなラスト。優しく、丁寧に紡ぎ出された独特の世界観が各国でも絶賛され、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2009で〈SKIPシティ・アワード〉を受賞した他、ロッテルダム、釜山、ドバイなどの国際映画祭に正式出品されて大きな注目を集めた。

 また、本作は新人監督の発掘を目的に創設されたシネバザールのニューレーベル「KOINOBORI PICTURES」の第1回製作作品でもある。


posted by スタッフ at 03:48 | introduction | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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